広告手法が多様化している中、予算はどうやって最適化できるのか?

コラム
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近年、広告手法の多様化が進んでいます。テレビ、ラジオなどマスメディアでのCMにとどまらず、リスティング広告、ネイティブアド、DSPなどデジタルでは常に新たな広告手法が登場しています。そこで焦点となるのが、成果を最大化するためにはどの広告にどれくらいの予算を配分すべきなのかという、広告予算最適化です。

本稿では、広告予算最適化の課題や注意すべきポイントなどをご紹介します。

広告予算最適化とは?

広告予算最適化とは、広告成果を最大化させるために最善のバランスで各広告にかける予算を割り振ることです。

広告予算最適化が注目されている背景には、メディアの多様化と広告に関する組織体制の変化があります。従来の広告は、テレビやラジオなどマスメディアでのCMが中心でした。そのため、広告予算配分も担当者の経験則や広告代理店任せで進められていました。しかし、デジタルメディアの登場などで広告手法が多様化した結果、広告予算配分も複雑になり、経験則が通用しなくなってきました。デジタルマーケティングは広告代理店を使わず自社で完結する会社も増えているなど、環境が大きく変わってきています。

また、企業の広告効果測定に対する意識が大きく変化したことも影響しています。従来の広告効果測定の指標は、認知率やブランドイメージが主流でした。しかし、リーマンショック以降の不況により、企業のマーケティング投資への目が厳しくなりました。その結果、施策がどれだけ売上に貢献しているかという点を重視するようになり、売上を最大化するための広告予算最適化が注目されるようになりました。

広告予算最適化の代表的な手法:MMM

従来の広告予算最適化は、メディアごとの最適化が主流でした。例えば、認知率最大化のためのテレビCM出稿量の最適化です。しかし、効果測定が容易なデジタル広告の登場や、テクノロジーの変化に伴い様々なデータが取得できるようになった結果、注目されている広告予算最適化の手法がMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)です。

MMMとは、売上実績や広告出稿量などを統計的に分析することで、売上とマーケティング施策の関係性をモデル化する手法です。自社の売上実績やテレビ/インターネットの広告出稿データだけでなく、天気や競合の広告出稿状況など外部要因も取り込みモデル化することで、マーケティング施策の売上貢献度やROIを把握できます。これによって、予算配分を変更したら売上がどう変わるのかなどのシミュレーションも可能なため、広告予算最適化の代表的な手法として注目されています。

MMMにおいて重要なポイントは、モデルのアップデートです。初回のモデルの精度はそこまで高くないのが一般的です。そのため、分析に利用するデータの粒度を変えるなど、モデルをアップデートすることで、より価値のある分析となっていくでしょう。

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変化の激しい時代、事業成果を最大化するための広告投資の最適化方法とは?

個人のタッチポイントベースの分析:MTA

メディアの多様化により、マーケティング施策の直接的な売上貢献度だけでなく、間接的な貢献度も注目されています。例えば、テレビCMを見てからバナー広告を経由して店舗で購入したユーザーと、店頭で商品を見ただけで購入したユーザーの最終的な購入金額の比較により、各広告の売上貢献度を検証します。その際に使われる手法がMTA(マルチタッチアトリビューション)です。MMMが時系列での相関関係をモデル化するのに対して、MTAは個人のタッチポイントをベースに分析しモデル化します。DM発送履歴やメルマガの購読履歴などのデータを活用します。

MTAが注目されている背景には、デジタルメディアの台頭があります。今までは、タッチポイントを調べる方法は意識調査しかありませんでした。しかし、現在ではテクノロジーの進化により、様々な行動データを取得できるようになったため、どの広告を見てサイトを訪問したかなど細かに把握できます。また、MTAを活用することで、個人にカスタマイズしたレコメンデーションやプロモーションの検討なども可能です。

MMMもMTAも施策の売上貢献度を算出することにより、広告予算最適化を検討できる手法です。どちらが優れているというわけではありません。短期的にはMTAで広告予算最適化を行いつつ、一定期間データが溜まったらMMMでも分析を行うなど、両方組み合わせることが重要です。

広告予算最適化で重要な3つのポイント

最後に、広告予算最適化を行う上で重要な3つのポイントをご紹介します。

まず初めに、MMMやMTAは単なる分析手法であり、それに基づく判断と運用が重要ということです。

MMMもMTAも、過去のデータを分析することにより、成果を可視化するための手法です。しかし、状況は常に変化しています。新型コロナウィルスのように全く予想しない社会変化が起きるかもしれません。そのため、単に分析をするだけでなく、その結果と状況を踏まえて総合的に判断することが重要です。

2点目は、常にチャレンジを忘れないことです。

広告を取り巻くメディア環境は刻々と変化しています。FacebookやInstagram、TikTokが台頭した時ように、今後どのようなメディアがいつ誕生し、いつ流行るかを予見することは困難です。MMMもMTAも過去の実績をベースにした分析手法です。過去この施策で売上が伸びたからこのままでいいという意識のままでは時代の変化に取り残されてしまいます。効果測定のリードタイムも短縮されてきているので、まずは少額の予算で試してみて広告効果を測定するという方法もあります。予算の一部を常にチャレンジ予算に設定することも一案です。

3点目は、常にPDCAを回すことです。

MMMやMTAでは、どのようなデータを活用するかによって大きく精度が変わります。このように広告予算最適化をしていく中で、常にPDCAを意識することを忘れずにいましょう。

まとめ

広告手法の多様化や費用対効果への意識の高まりによって、広告予算最適化が注目されています。

そのための手法として、MMMやMTAがあります。施策の売上貢献度を算出することで、最適な広告プランが検討できます。MMMやMTAでの分析結果を参考に、環境の変化も鑑みながら、総合的に判断していくことが重要です。

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