マーケティング効果可視化におけるデータ活用事例

データ活用
マーケティング連載

ビジネスにおけるデータ活用、中でもマーケティング効果の可視化はマーケターにとって永遠の課題と言えます。過去、サイカからは以下のような記事(※1)を出し、データをビジネスの成果につなげるヒントを紹介してきました。

※1) https://xica.net/xicaron/data_analysis_for_beginners_1/

マーケティング効果の可視化によって成果を残した事例は多数あります。マーケターの森岡毅氏が、USJのV字回復実現の経緯を書いた『確率思考の戦略論』は記憶に新しく、マーケターの勘や経験に頼るだけでなく、データを活用して定量的に意思決定していくことで、マーケティング活動による効果を一層高められることがわかります。一昔前と比べ企業が持ちうるデータの幅も広がり、ますますその機運は高まってきました。

サイカが実施した調査によると、「社内リソースの不足」「データ収集の難しさ」「分析知見がない」といった理由でマーケティングの効果可視化ができていないと感じている企業が一定数あることが分かりました(※2)。実際、「何をKGI・KPIに設定すればよいのかわからない」「どのように効果を可視化すればよいのかわからない」と悩むマーケターの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

※2) https://xica.net/xicaron/advertising-effectiveness-survey-2020/

ですが、マーケティング計画立案・振り返りにおいて、マーケティング効果の可視化は必要不可欠です。本記事では、マーケティング活動の効果可視化の意義と、効果可視化ができていない場合に起こりうるリスク、そして効果可視化によってROI改善に繋げた事例を解説します。

マーケティング効果可視化の意義

マーケティング効果の可視化は、マーケティング活動におけるPDCAのPlan(計画立案)とCheck(振り返り)を実施する際に有効です。

データドリブンなマーケティング計画の立案

過去のマーケティング効果を可視化できている場合、①現状のマーケティング活動の強みと弱みの炙り出し②将来実施する予定のマーケティング活動の効果予測、の2点が可能になります。

①によって、何を改善すると有効なのか(例えば、広告施策の予算配分を変えるべきなのか、クリエイティブを変えるべきなのか)が分かります。

また、②によって、現状の予算で目標達成が可能かが分かります。これらを参考にすることで、勘や経験に頼るだけでなく、データドリブンなマーケティング計画立案が可能になる、という考え方です。

目標達成 or 未達の要因の振り返り

過去(または進行中)のマーケティング活動について目標達成 or 未達(または達成しそう、未達になりそう)の要因を細分化して把握できます。目標と実績の差分を検証することで、各マーケティング施策が「想定より効果がなかったのか」「想定より費用がかかってしまったのか」「競合/市場動向に大きな変化があったのか」などの要因を検証することができます。

マーケティング効果可視化ができていない場合に起こりうるリスク

これらがマーケティング効果可視化の最大の意義であり、一方で効果可視化ができない場合、以下のようなリスクが想定されます。

  • 目標に対して必要以上・以下の予算を見込んでしまう
  • マーケティング活動を適切に評価できていないため、誤った判断をする

例:

  • 全体最適な予算配分ができない
  • クリエイティブ変更の方針を誤る
  • 市場の伸びをマーケティング効果が高いためであると見誤る
  • 市場縮小・競合の伸びをマーケティング効果が低いためであると見誤る

これらのリスクを回避するためにもマーケティング効果可視化は必要不可欠です。次章では、あらゆる広告の統合的な分析を行うサイカの知見から、マーケティング活動の効果を可視化した事例の解説をします。

マーケティング効果可視化の事例紹介

サイカによるマーケティング活動の効果可視化によって、実際に業績・売上が改善した事例をいくつか紹介します。

外食チェーンの事例

1つ目は、全国的に店舗展開をしている外食チェーンの事例です。

こちらの企業からは、マーケティング活動(オンライン広告・オフライン広告)の効果可視化と、それを基にした予算配分を実施していきたいという要望があり、サイカで分析を行いました。

結果、他施策と比べて費用対効果が低い媒体を特定し、エリアを絞って、試験的に予算配分の変更を実施しました。その後、ROIの改善を確認できたため、その予算配分を全国的に採用することで、全体のROIを大きく改善できました。

こちらは、効果可視化の結果を活用して、よりROIの高いマーケティング計画を立案できた事例になります。一部エリアに絞って、試験的な運用をすることで地域差以外の外的要因を排除した状態でマーケティング計画の結果を効果可視化することができたことも、成功要因の一つと考えられます。

消費財メーカー企業の事例

2つ目は、ある市場でトップシェアを占める生活用品についての分析事例の紹介です。

こちらの企業からは、オンライン広告・オフライン広告・店頭要因・外部要因(トレンド・市場動向など)の効果を定量的に測れておらず、それらの効果を可視化した上で、最適な予算配分を検討したいという要望があり、サイカで分析を行いました。

分析の結果、価格設定・店頭配荷率(自社製品が店頭に並んでいる割合)の競合差分に課題があることが判明しました。分析当初は、広告による効果が低いために売上の減少があったと捉えられていたものの、本当の課題は、外的要因と店頭要因だったのです。これらを基に、店頭価格・配荷目標・各広告媒体の出稿額における戦略を再策定し、実行に移しました。

こちらは、自社のマーケティング活動のみではなく、競合・価格・配荷率・外的要因など様々な要因を加味してマーケティング効果の可視化を行ったことで、マーケティング活動の効果を正しく捉えられた成功事例になります。売上・客数などは外的要因・店頭要因による影響も受けやすく、それらの要素も含め分析したことで最適な判断ができました。

個人向け金融サービスの事例

3つ目は、toCの金融サービス事業についての分析事例になります。

こちらの企業では、施策ごとに顧客コミュニケーション目的が異なり、それらを統合的に分析したうえで各コミュニケーション目的ごとの最適な予算配分案を算出していきたいという要望があり、サイカで分析を行いました。

結果、メディアやクリエイティブによってどのような意識指標を最大化できるかについての差分があることが判明し、マーケティング戦略に対して最適なマーケティング施策の予算配分を定量的に行うことができました。マーケティング計画立案の際の指標の可視化を実施し、複雑な市場構造を数値化して整理することに役立てられた成功事例と考えられます。

※)分析結果のイメージ。矢印は示された先への影響度の強さを示します。

オンオフ統合分析で継続的に獲得効率を把握し、最も効果的なマーケティング運用を

次回以降は、具体的にデータ収集の際に注意するべきポイント・具体的な分析手法について解説する予定です。

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