テレビCMは本当に効果があるの?評価する有効な手段とは

コラム
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企業にとって、自社製品やサービスを世間に知ってもらう、理解してもらうことは非常に重要なマーケティング施策だ。認知度を上げるには「テレビCMが有効」と理解はしていても、広告費用はもちろん制作費用も高いことを理由に、テレビCMへの投資を控える企業もみられる。

一方、近年ではインターネットの普及とともにオンライン広告が台頭。少額の広告予算からスタートできるうえ、Cookieや第三者配信を利用した方法で、広告効果を可視化しやすいので、オンライン広告を利用する企業が増加傾向にある。

ただ、単純に「テレビCMをやめてデジタル一本にしていいのか?」というと、現在のユーザー行動から考えるとそれは少し早計で勿体無い。なぜなら、未だテレビの利用率は各年代ともに最も高く、ドラマやバラエティ番組を見ながらTwitterに投稿する等、テレビとインターネットを同時に利用するといった行動がよく見られるからだ。ではどのようにテレビCMを評価すればよいのだろうか?

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一般的なテレビCMの評価方法

テレビCMが事業成果にどれだけ結びついたかという影響度を測ることは難しい。テレビCMは、オンライン広告のようにコンバージョンが直接的には見えない。かと言って、日本全国のテレビ視聴者一人ひとりに事細かく質問することは現実的ではない。そのため、一般的にはテレビCMは以下のような方法で評価されている。

CM出稿前後の数値を比較する方法

テレビCMの放送期間中または放送期間後に、過去の平均数値からどのくらい変化があったかを調査し、差分を出す方法。

  • 社名/商品名の検索数の変化
  • Webサイトへの流入数の変化
  • 小売店への来店数の変化
  • 商品の販売個数の変化

調査会社等により個人を調査する方法

テレビCMを視聴した人全員を調査することはできないため、ある一定母数のデータを調査することにより、全体の傾向を推測する方法。

  • 消費者に対するアンケート調査
  • 許可を得た消費者のスマートテレビ等による、テレビ視聴ログとWeb行動履歴の調査

テレビCMを評価する有効な手段とは

いくつかテレビCMの評価方法を列挙したが、どの方法が最もテレビCMの効果を正しく評価しているのかというと、実はいずれの方法もそれだけでは精度に欠ける。精度を上げるにはこれらの評価方法を複数実施し、変化した数値の確かさを調べる必要がある。しかし、それでも人の記憶の曖昧さや、季節や天候、競合のマーケティング施策等の外部要因が加味されないという課題が残る。そこで有効となるのが、広告施策や外部要因等のあらゆる要因と成果の連動性を分析するという、統計学を用いた評価方法

統計学を用いた精度の高いテレビCMの評価方法

では、どのように統計学を活用し、テレビCMの効果を分析すればよいのか。この場合は「パス解析」が1つの方法として挙げられる。例えば「リスティング広告の検索数が増えるとコンバージョン数が増加する」といった関係性の「単回帰分析」だ。しかし、企業はコンバージョン数を増加させるために複数の施策を同時並行で実施するのが一般的である。

そのためリスティング広告以外にも「ディスプレイ広告経由のアクセス数が増えるとコンバージョン数が増加する」といった分析も追加する必要がある。このコンバージョン数との関係性はリスティング広告とディスプレイ広告という施策が2つあるので、単回帰分析ではなく、重回帰分析によって分析を行う必要がある。この例の重回帰分析では、コンバージョン数という目的変数が1つ。説明変数はリスティング広告とディスプレイ広告の2つとなる。「パス解析」とは、この目的変数と説明変数の両方が複数個ある分析モデルのことだ。

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なぜ目的変数が複数必要かというと、目的変数が1つの場合、それぞれの施策が成果に対してどのように影響を及ぼしたかが分からないからだ。さきほどの例で考えてみよう。リスティング広告は、一般的にはコンバージョン率が高いため、成果であるコンバージョン数増加に強く影響していると考えて良いかもしれない。

一方で、ディスプレイ広告はどうだろうか? コンバージョン数への影響はあるかもしれないが、リスティング広告の検索数の増加にも寄与しているかもしれない。この場合、ディスプレイ広告の目的変数はコンバージョンとリスティング広告の2つとなる。

このように、テレビCMが成果に対してどのような影響をもたらすかを、事前に考えた上でパス解析を利用すれば、テレビCMを可能な範囲で精度高く分析することができるだろう。

より精度が高い分析を行うためには

パス解析を用いて分析することを例として挙げたが、このやり方でより精度を上げるためには、企業で行っている全てのマーケティング施策だけではなく、季節や天候、競合のマーケティング施策等、可能な限りのデータを集めて、それぞれを多重で解析する必要がある。しかし、これらを企業の分析担当者が解析していくのは至難の業だ。多くの場合は、工数過多や、計算ミス、計算への組み込み漏れ等の問題が発生するだろう。

当社が提供する「MAGELLAN(マゼラン)」というマーケティング・ミックス・モデリング(MMM)分析サービスは、これらの課題を解決するツールだ。企業が実施している全マーケティング施策と成果の日次データ、可能な範囲の競合情報や季節、天候等の情報をMAGELLANに読み込ませることで、自動で解析し、テレビCMの効果を可視化することができる。可視化された一部の解析結果がこの図だ。

これは、各施策や外部要因が成果に対してどのように影響したのか、その影響度を貢献値という共通の指標で算出し、グラフ化している。MAGELLAN(マゼラン)ならテレビCMや交通広告といったオフライン広告と、リスティング広告やディスプレイ広告等のオンライン広告を共通指標で比較できる。さらに、直接効果・間接効果・残存効果を加味した上で「成果に対してどのくらい貢献したか?」という同じ指標でフラットに比較できるようになる。

まとめ

デジタル広告と比べて、費用対効果が見えにくいことから、投資が抑えられつつあるテレビCM。しかし、見えにくいというだけで、実際にはテレビCMはまだまだ大きな影響力がある。テレビCMをやめることで指名検索数の減少や、ブランド認知率の低下等、短期あるいは中長期的に見て、事業成果への影響が出てくる可能性は高い。

テレビCMを始めとするチラシや交通広告といったオフライン広告は、直接的な効果は見えにくい。しかし、MAGELLAN (マゼラン) のような統計学を利用した評価方法を用いることで、過小評価されているかもしれないオフライン広告を正しく評価することができる。

これにより、全てのマーケティング施策をフラットに比較することができ、成果を最大化させるための最適な投資ができるようになるだろう。

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