アトリビューション分析とは?概要や代表的な分析モデル、分析方法をわかりやすく解説

コラム
データ分析マーケティング広告

購入などのコンバージョンまでの経路が複雑なビジネスモデルでは、想定される経路上でオンライン広告、オフライン広告などさまざまな施策が用いられています。

しかし、これらの広告効果を適切に分析することは容易ではありません。そこで注目されているのが、アトリビューション分析です。コンバージョンに直接影響があった広告だけでなく、コンバージョンの要因がどこに帰属するのかを分析する手法です。

本記事ではアトリビューション分析について、概要や基本モデル、具体的な手順などを解説します。

アトリビューション分析とは?

アトリビューション分析は、マーケティングの効果を測定する手法の一種です。従来のマーケティング分析では、コンバージョンに直接貢献した広告のみを評価していました。しかし実際には、サービスを認知してコンバージョンに至るまでに、1つの広告だけではなく複数の広告が関与しています。

アトリビューション分析では、これまで評価対象外だったコンバージョンに至るまでの経路を対象にするのが特徴です。アトリビューション(attribution)は「帰属」を意味する言葉で、コンバージョンの要因がどこに帰属するのかを分析します。それぞれの広告がコンバージョンへどの程度影響したかを正しく評価することで、さまざまなメリットを得られます。

アトリビューション分析のメリット

アトリビューション分析により、直接的な広告だけでなく、間接的な広告がどのくらいコンバージョンへ影響しているかが可視化されます。その結果に応じた対応を行えば、広告運用の精度が高まるでしょう。

例えば、正確な予算調整です。従来の手法では、コンバージョンに直接関係しない施策は費用対効果を測定することが困難でした。実際には広告効果が出ていても、積極的に予算を投入する根拠を得られにくい側面があったのは事実です。しかし、アトリビューション分析により、そうした施策を正しく評価できるため、適切な予算調整が可能になります。

また、パーソナライズの改善も見込めます。分析によりユーザーの動向がわかりやすくなるため、ニーズを把握した的確なカスタマージャーニーマップの作成が可能になるなど、適切な施策が行えるようになるでしょう。

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アトリビューション分析が有用な場面

アトリビューション分析が有用な場面

アトリビューション分析には、有用な場面とそうでない場面があります。有用なのは、BtoBのようにコンバージョンに至るまでの経路が複雑な場合、または車や家といった高額商品を取り扱うBtoCの場合などです。

例えば、BtoBの担当者がリスティング広告を見ただけで、コンバージョンすることはめったにありません。展示会などでサービスを認知し、そこからオンライン広告や検索などでサービスのことをより深く知り、最終的にコンバージョンすることが一般的な流れでしょう。こうした場合、コンバージョンに最も影響を与えたのがどこなのかを調べるのに、アトリビューション分析が有用となります。

一方、コンバージョンまでの経路が短い場合や、対象となる商品やサービスが安価な場合は、アトリビューション分析にあまり向いていないでしょう。経路が短い場合や商品が安価な場合は、認知からコンバージョンまで悩まず、即決されることも多いため、コンバージョンした広告だけを分析すれば事足りるからです。

アトリビューション分析の種類

アトリビューション分析は、分析対象の違いによって「オンラインアトリビューション分析」と「統合アトリビューション分析」の2つに分類されます。

オンラインアトリビューション分析とは、ディスプレイ広告やリスティング広告などのオンラインの広告のみを分析の対象とするものです。

一方で、統合アトリビューション分析はオンライン広告に加え、テレビやラジオ、新聞などオフラインの広告も分析できます。オンライン広告とオフライン広告それぞれの貢献度を測ることで、さらなる広告効果の向上に役立つとされています。

アトリビューションの基本モデルとモデルの選び方

アトリビューションの基本モデルとモデルの選び方

アトリビューション分析は、各広告への貢献度の振り分け方によってモデルが異なるため、分析の目的や対象によって使い分けが必要です。アトリビューション分析の基本モデルと、選び方を解説します。

アトリビューションの基本モデルは6種類

ここでは、展示会でサービスを知り、Webサイトやディスプレイ広告で関心が高まり、最終的にリスティング広告でコンバージョンした事例を用いて、基本モデルを6種類紹介します。

・起点モデル

起点モデルは「ファーストクリックモデル」とも呼ばれます。最初にクリックされた広告に貢献度を100%割り振る方法です。ブランドや新サービスの認知を目的とする広告を分析する場合に適しています。上記の事例の場合だと、展示会だけを評価することになります。

・終点モデル

「ラストクリックモデル」とも呼ばれる分析手法で、最後にクリックされた広告に貢献度を100%割り振ります。顕在ユーザーの分析や、販売サイクルが短期間であるサービスに向いています。上記事例の場合、リスティング広告のみを評価します。

・線形モデル

「均等配分モデル」とも呼ばれ、すべての広告に貢献度を均等に割り振るモデルです。アトリビューション分析では、よく使われる傾向にあります。

どの広告とキーワードが機能し、どれが機能しなかったのかを可視化しやすいのが特徴です。上記事例の場合、展示会からリスティング広告までの5つの広告を、すべて均等に評価します。

・減衰モデル

コンバージョンに近い広告ほど高い貢献度を割り振り、離れるほど貢献度が低くなるモデルです。終点モデルと同じく、販売サイクルが短いものに適しています。

上記事例の場合、リスティング広告に近いほど評価が高くなり、展示会はほとんど評価されません。

・接点ベースモデル

最初と最後の広告へ貢献度を高く割り振りますが、途中の広告にもある程度の貢献度を割り振ります。最初と最後に40%ずつを割り振り、残った20%は他の広告へ均等に割り振るのが基本です。上記事例の場合は、展示会とリスティング広告の評価が高くなります。

・データドリブンモデル

機械学習した動的なアルゴリズムにより、接点に貢献度を割り振ります。成果が高いキーワードや広告などを把握できるメリットがありますが、前提として十分なデータの蓄積が必要です。

例えば、Google広告でデータドリブンモデルを使う場合、過去30日以内に300回以上のコンバージョンと、3,000回以上の広告クリックが必要とされるケースもあります。

アトリビューションモデルの選び方

アトリビューション分析のモデルは、それぞれに一長一短があるため、これさえ選んでおけば良いというものはありません。自社の成長戦略や分析対象に応じて、適切なものを選ぶ必要があります。モデルの選択を誤ると、分析結果を活用できなくなるため注意してください。

例えば、販売サイクルが短く、タッチポイント(企業とユーザーの接点)が少ない場合は、起点モデルや終点モデルが適しています。逆に販売サイクルが長く、タッチポイントが多い場合には、減衰モデルや接点ベースモデルがよいでしょう。また、ユーザーの行動を分析したい場合には、線型モデルが適当です。

その他にも、見込み顧客を獲得したい場合は起点モデルや接点ベースモデルが、売上を拡大したい場合は終点モデルや減衰モデルが適しています。

このように、戦略や対象に応じたモデルを選ぶようにしましょう。

アトリビューション分析の手順

アトリビューション分析の具体的な手順を解説します。

コンバージョンまでの経路を洗い出す

まず、ユーザーがコンバージョンに至るまでの経路について、考えられるものはすべてリスト化します。最初から経路がわかる場合は少ないと思われるため、仮説により経路を考え出します。

例えば、基本モデルの紹介の際に利用した事例のように仮説を立てるとよいでしょう。展示会でサービスを認知してWebサイトで検索し、バナー広告に触れることで関心が高まって、最終的にリスティング広告でコンバージョンしたという仮説などが考えられます。簡潔に経路をまとめると、以下のようになります。

  1. 展示会
  2. Webサイト
  3. ディスプレイ広告(1)
  4. ディスプレイ広告(2)
  5. リスティング広告

データを収集し、ツールでアトリビューション分析を行なう

データを収集し、ツールでアトリビューション分析を行なう

次に、アトリビューションモデルを決定しますが、必要に応じて貢献度の割り当て調整も行います。このとき、最初から1つのアトリビューションモデルに絞るのではなく、複数のモデルを用いると、さまざまな切り口からの分析が可能になるでしょう。

仮説に基づいて、ディスプレイ広告やリスティング広告など、必要な箇所からデータを収集します。ただし、展示会のようなオフライン広告は、オンラインアトリビューション分析だけでは分析ができません。

データ分析には、オンラインアトリビューション分析であるGoogleアナリティクスやGoogle広告のほか、統合アトリビューション分析であるサイカの「MAGELLAN(マゼラン)」などデータ分析を専門とする企業が開発した分析ツールを用いて行います。

分析に基づいて改善を行なう

データを収集して分析を行ったら、分析結果に基づいた改善が必要です。コンバージョンへの貢献度が低い広告を見直し、貢献度の高い広告に力を注げば、より効果的な広告運用が可能になるでしょう。

分析・改善の注意点として、最初からあまり細かく分析を行なわないことが挙げられます。アトリビューション分析は、細かく分析しようと思えばいくらでも可能です。しかし、大まかな傾向をつかみ、新たな仮説を立ててPDCAを回していくほうが、早く成果が出やすくなります。

サイカが提供する「MAGELLAN」で広告効果を可視化しよう

サイカが提供する「MAGELLAN(マゼラン)」は、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)と呼ばれる、統合アトリビューション分析が行なえるツールです。

オンライン広告だけでなく、オフライン広告も含めたあらゆるマーケティング要因が、売上に与える影響を可視化できます。アトリビューションモデルには、高度な統計分析に基づいたデータドリブンモデルを採用しており、より精密な分析が可能です。また、オンラインアトリビューション分析と違って、個人を識別できる電子情報、Cookieなどのデータを必要としない分析手法となります。

アトリビューション分析は、複雑なツールを使いこなす必要がある場合もあります。Google広告やGoogleアナリティクスは無料で利用できますが、使いこなすのは容易ではありません。しかし、MAGELLANでは手厚いサポートを提供しているため、そのような心配は不要です。経験豊富なコンサルタントと、専属のデータサイエンティストがお客さまをサポートするため、企業固有のマーケティング仮説に沿ったモデル設計から、広告効果分析や分析結果の解釈のサポート、さらに最適な予算配分が可能になります。その結果、広告の費用対効果の向上が期待できます。

マーケティング効果と費用対効果の測定方法としてどの分析モデルが最適かについて、MMM分析とデジタルアトリビューション分析の比較を以前の記事にご参考ください。

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Cookieレス時代の広告効果分析事例

まとめ

従来の広告効果分析では、コンバージョンに直接つながったものだけを評価することが少なくありませんでした。しかし、アトリビューション分析では、直接的なものだけでなく間接的なものも、広告がコンバージョンに与えた影響を可視化します。

アトリビューション分析には基本モデルが6つありますが、それぞれに一長一短があるため、分析対象や目的によって適切なモデルを選ぶ必要があります。また、アトリビューション分析では、仮説を立ててデータを収集・分析し、新たな仮説を立ててさらに分析……というサイクルを回すのが基本です。このサイクルを素早く回していけば、より精度の高い改善が可能となります。

Google広告やGoogleアナリティクスを使えば、アトリビューション分析は無料でも始められますが、使いこなすには十分な知識や経験が欠かせません。
サイカの「MAGELLAN(マゼラン)」には手厚いサポートがあるため、より精密な分析ができるでしょう。統合アトリビューション分析に興味がある方は、サイカの「MAGELLAN」をぜひ一度ご検討ください。

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